教室博日記 No.2003

 2021/08/07(土)

 シラキ

 君津の山中にて。シラキに果実がついている、と一緒に歩いていた先輩職員が教えてくれた(写真1)。

果実をつけたシラキ
  • 写真1

 正直に言うと、シラキにあまり注目したことがなかった。シラキという名前は、材が白いことに由来する。白い木だからシラキ。単純明快で良い名前とも言えるが、どうも地味だ。シラキの花というのもピンと来ないので図鑑で調べたら、やはり花弁(花びら)のない地味な花らしい。葉にもこれといって目立った特徴はなさそうに見える。

 そんなシラキだが、果実は結構ボリュームがある。たくさんぶら下がっているのを見たら俄然やる気が出てきた。この日見たのはまだ若い果実。果実の先端に3本の角のようなものがついていて面白い(写真2)。これは花柱(雌しべの軸)で、果実が熟してもずっと残るようだ。

シラキの果実
  • 写真2

 果実は2、3個のボールがくっついたような形で、それぞれのボールの中に種子が1個ずつ入っている。果実が熟すと裂け、中の種子が落ちる。採集した果実はまだ裂けていなかったので、割って中の種子を出そうとしたが、乾いた果皮は思った以上に硬い。バキバキ割って出した種子が写真3。

シラキの種子
  • 写真3

 種子は直径7ミリほどの球形で、焦げ茶とベージュのまだら模様が美しい。色味はシックだが、全体的に地味な印象のシラキにしては派手に感じる。果実が派手な植物はいくらでもあるが、果実はそれほどでもないのに種子が派手、という植物はあまり見ない気がする。種子に美しい模様をつけることに一体どんな意味があるのだろうか。大人しそうな人の意外な一面を垣間見た時のような気分になった。

  • シラキ Neoshirakia japonica(トウダイグサ科)

(西内李佳)