教室博日記 No.2004

 2021/08/09(月)

 マゴジャクシ

 元清澄山系にて。立ち枯れたモミの根元に生えたキノコ(写真1)。光沢のある褐色の傘と黒光りする柄。高さは10センチほどで、木のように硬い質感。これはマゴジャクシだ。房総丘陵のモミ林でたまに見つかるが、数年に一度しか出会わない。

  • 写真1

 傘の裏側は白い(写真2)。

  • 写真2

 よく見ると裏側には一面に針の先で突いたような小さな穴がある(写真3)。この穴を管孔(かんこう)と呼び、孔口(こうこう)という開口部の大きさは0.1ミリほど。

  • 写真3

 穴の周りが褐色に汚れている部分がある(写真4)。これは管孔内から出てきた埃のように細かい胞子によるもの。

  • 写真4

 標本として採集したが、柄が折れてしまった。せっかくなので柄の断面を観察した(写真5)。木のように硬い柄の内部は多孔質の高野豆腐が詰まっているような質感で、もろく見える。柄の強靱さを支えているのは表面を覆う黒褐色でエナメル質の表皮のようだ。

  • 写真5
  • モミ Abies firma(マツ科)
  • マゴジャクシ Ganoderma neojaponicum(マンネンタケ科)

(尾崎煙雄)