教室博日記 No.2017

 2021/09/09(木)

 増水した湊川支流

 雨の中、富津市の林道を歩いた。午後はいよいよ大雨になってきた。山側のあちこちから滝のように茶色い水が流れ落ち、歩いてきた道は川のようになっていた(写真1)。

  • 写真1 川のようになった林道

 山側から流れてくる水は林道のところどころに設置された水路から谷側へ落ち、普段は水の流れがほとんど無さそうな狭い谷も、流れの速い川となっていた(写真2)。さらに下流の橋の上から見た川の様子が写真3だ。

  • 写真2 すっかり川になっていた狭い谷
  • 写真3 下流の橋の上から見た川の様子

 沢の近くへ降りてみると、房総丘陵で普段見かける沢の様子とは全く異なり、茶色い水がドーッと流れていた。一週間後の9月16日に同じ場所で撮影した写真を、増水時の写真と並べてみた。(写真4〜5)。同じ場所で水位を比べると増水の様子がよくわかる。普段はせいぜい10センチほどの水深が1メートル近くにまでなっただろうか。私が山を下りた後も大雨はしばらく続いていたので、もっと水位が上がったことだろう。

  • 写真4 左(9月9日) 右(9月16日)
  • 写真5 左(9月9日) 右(9月16日)

 この川の水源は最高標高が330メートルの高宕山の南西斜面だ。房総丘陵では、標高が低く保水力の小さい山から雨水はすぐに流れ落ち、川はあっという間に増水する。そのかわり雨が止めば水量が引くのも早い。知ってはいても実際に増水した現場を見る機会は少ない。雨の日でも山を歩けば何か得るものがある。

 ただ、この日見られた昆虫はナミハンミョウだけだった(写真6)。雨の中、地面から多くの個体が飛び立ち、ときどき私の体にぶつかるほどだ。8月末から9月は、羽化した新成虫が活発に活動する時期だが、大きな雨粒が落ちてくる中、お構いなしに飛び回ることのできる飛翔能力には驚いた。それにしても大雨の中、餌となる昆虫やミミズなどの獲物が見つかるのだろうか。

  • 写真6 大雨の中のナミハンミョウ
  • ナミハンミョウ Sophiodela japonica(オサムシ科)

(斉藤明子)