教室博日記 No.2038

 2021/11/13(土)

 ヤドリギ

 君津市内にて。たくさんのヤドリギに寄生されたケヤキ(写真1)。数年前からこの木を観察し続けている。

  • 写真1

 3年前の10月に見たときにはまだ落葉前で、ケヤキのどの枝にも枯れ葉がついていてヤドリギの姿はあまり見えなかった(写真2)。

  • 写真2 2018/10/21撮影

 今回は11月で季節は遅いが秋に暖かな日が続いたせいか、ケヤキの下の方の枝にはまだ黄色い葉が残っている(写真1)。しかし梢(こずえ)付近には枯れ葉もなく、いくつもの大きなヤドリギが丸見えになっていた(写真3)。ヤドリギは成長するにつれて丸い球状になることが多く、順調であればこの球の直径は1年で10センチくらい大きくなる。この3年間で急にヤドリギの存在感が増したのも無理はない。

  • 写真3

 大きなヤドリギに寄生された枝のいくつかは先の方が菌類に冒されている様子が見られ、明らかに枯れている(写真4)。ヤドリギはケヤキ等の落葉広葉樹の枝や幹の内部に根を差し込み、水分と養分を奪う寄生植物である。寄生された樹木にとっては迷惑な存在だが、ヤドリギに寄生されたせいで樹木が枯れたという例はあまり見たことがない。このケヤキが今後どのような経過をたどるのか、観察を続けてみたい。

  • 写真4
  • ヤドリギ Visum album subsp. coloratum(ビャクダン科)
  • ケヤキ Zelkova serrata(ニレ科)

(尾崎煙雄)