教室博日記 No.2054

 2021/12/20(月)

 千葉から見つかってもトウキョウホタテ

 市原市内にて。この日は博物館のイベントで使うトウキョウホタテの化石を拾いに来た。この場所では、藪層と呼ばれる約30万年前の地層が観察できる。東京から見つかった化石にちなんでこの名前がついたが、千葉から見つかってもトウキョウホタテと呼ばれる。地層の表面に付いた砂を刷毛で払うと、トウキョウホタテが現れた(写真1)。大きなものは殻長15センチを超える。こんなにたくさん見つかる貝なのに、現在の海で生きている個体を見ることはできない。この時代の貝化石ではめずらしい絶滅種のひとつだ。

  • 写真1 トウキョウホタテが地層に埋まっている様子(地層のほぼ水平な断面)

 崖下に落ちていたトウキョウホタテを拾うことができた(写真2)。博物館のイベントで参加者にトウキョウホタテをさわってもらおう。東京と付いた名前や絶滅の不思議など、この貝の魅力が伝わるとうれしい。

  • 写真2 崖下に落ちていたトウキョウホタテ
  • トウキョウホタテ Mizuhopecten tokyoensis(イタヤガイ科)

(千葉友樹)