教室博日記 No.2055

 2021/12/24(金)

 教室博物館の訪問者 ニホンザルの群れとキョン

 この日も旧三島小の校内で生きものを探した。2週間前には色々な生きものが見られたのだが、12月も末近くになるとさすがに何も見つけられなくなった。

 午後、教室博の室内にいると、突然何者かが屋根の上を走る音がした。急いで外に出てみると、あちこちからガサガサと音が聞こえた。ニホンザルの群れが来ているようだったが、私の気配で逃げてしまい全く写真に納めることができなかった。

 それではしばらく待ってみようと思い、プールのそばに腰を下ろし気配を消してみた。すると小型の動物が林の中から飛び出してきた。キョンだ(写真1)。

  • 写真1 旧三島小の敷地内に現れたキョン

 特定外来生物に指定されているキョンは、本来、中国南東部及び台湾に分布しているシカ科の哺乳類で、千葉県で野生化し問題となっている。千葉県におけるキョンの移入源は勝浦市にあった私立観光施設(平成13(2001)年閉園)と考えられており(浅田ほか,2000)、ここから逃げ出して野生化し、今も生息域を広げている。生息域は、令和2年(2020)年度には17市町、推定生息数は令和元年(2019)年度にはおよそ44,100頭に達したとされている(千葉県,2021)。

 房総丘陵を歩いていると、よく独特の鳴き声で吠えられたり糞を見掛けるので、三島小に現れても不思議は無いが、サルを待っていたところに現れたので驚いた。小さな虫を接写するカメラしか持ち歩いていないので、キョンらしいものが写っている程度の写真しか撮れなかったのが残念だ。

  • ニホンザル Macaca fuscata(オナガザル科)
  • キョン Muntiacus reevesi(シカ科)
  • 【参考文献】
  •  浅田正彦・落合啓二・長谷川雅美(2000)房総半島及び伊豆大島におけるキョンの帰化・定着状況. 千葉中央博自然誌研究報告, 6: 87-94.
  •  千葉県(2021)第2次千葉県キョン防除実施計画. 26pp.

(斉藤明子)