教室博日記 No.2062

 2022/01/21(金)

 ホソウデヒシガニのはさみの化石

 南房総市内にて。この場所では、数千年前の内湾で形成された地層が観察できる。泥質砂層中につぶれた棒状の物体を見つけた(写真1)。近付いて観察すると、棘が並んでいる。カニのはさみのようだ。カニに詳しい同僚に見てもらったところ、ツメの片方は欠損しているがホソウデヒシガニのものらしい。ツメの片方だけ化石として見つかることが多く、ここまで形がそろっているものは珍しい。はさみがあったということは、甲羅の化石も見つかるかもしれない。ヒシガニの仲間は文字通り菱形の甲羅をもっている(写真2)。甲羅の化石にもいつかお目にかかりたい。

  • 写真1 ホソウデヒシガニのはさみの化石(スコップの刃の長さは約6センチ)
  • 写真2 現生のホソウデヒシガニの標本
  • ホソウデヒシガニ Enoplolambrus laciniatus(ヒシガニ科)

(千葉友樹)