教室博日記 No.2073

 2022/02/16(水)

 モミ樹皮下で越冬する甲虫

 君津市の山中にて。モミの倒木があった。モミが残された森を歩くのは久しぶりだ。樹皮を剥がしてみたところ(写真1)、樹皮下で越冬する昆虫を見つけた。ホンドクロオオクチキムシ(写真2)は体長15ミリほどのゴミムシダマシ科の甲虫。もう一種はコヨツボシアトキリゴミムシ(写真3)。こちらは体長5ミリにも満たない小さなオサムシ科の甲虫で、上翅に4つの鮮やかな紋を持つ。他にもオオゴキブリの幼虫なども出てきた。

  • 写真1 モミ倒木の樹皮を剥がした
  • 写真2 ホンドクロオオクチキムシ
  • 写真3 コヨツボシアトキリゴミムシ

 モミは、枯れるとまずヒゲナガカミキリなどの食材性昆虫に卵を産み付けられて材が食べられる(教室博日記No.1108)。大型のヒゲナガカミキリの幼虫が入っているモミでは、材中から幼虫が材をかじる音が聞こえるほどだ。腐朽が進むとオオゴキブリが家族で住みついたり、表面にキノコが生えればそのキノコに様々な昆虫が集まる。モミは枯れてからも多くの昆虫を育む。

  • モミ Abies firma(マツ科)
  • ホンドクロオオクチキムシ Upinella fuliginosa(ゴミムシダマシ科)
  • コヨツボシアトキリゴミムシ Dolichoctis striatus(オサムシ科)
  • ヒゲナガカミキリ Monochamus grandis(カミキリムシ科)
  • オオゴキブリ Panesthia angustipennis(オオゴキブリ科)

(斉藤明子)