教室博日記 No.2082

 2022/03/11(金)

 ミチタネツケバナ

 旧三島小学校にて。校庭のあちこちに白い小さな花がたくさん咲いていた(写真1)。ミチタネツケバナの花だ。

  • 写真1 2022/03/11 旧三島小学校

 花には白い4枚の花弁があり、雄しべが4本であることが近縁種との区別点(写真2)。ただし、雄しべが5〜6本あるものもたまにあるようだ(工藤, 2017)。

  • 写真2 2022/03/11 旧三島小学校

 ミチタネツケバナは秋に種子が発芽し、冬を越す。越冬期は地面に沿うように根際から放射状に葉を広げている(写真3)。この状態をロゼットという。

  • 写真3 2020/01/31 旧三島小学校

 花は1〜3月ころに咲く。ロゼットの中央から伸びる茎は高さ10センチを超えることもある(写真4)。花の後にできる果実は細長い棒状で「長角果(ちょうかくか)」という。

  • 写真4 2020/01/31 旧三島小学校

 ときにはロゼットの直径3センチ、草丈も3センチくらいの小型の株でも花が着いていたりする(写真5)。

  • 写真5 2020/02/14 旧三島小学校

 ミチタネツケバナはヨーロッパなどユーラシア大陸西部を原産地とする外来種で、日本では1974年に鳥取県で初めて採集され(工藤ほか, 2006)、今は日本全国に分布を拡げている。千葉県で最初に記録されたのは1998年(大場, 1998)で、以来急速に県内でも拡がった。当初、県南部には少なかったが、三島小学校の校庭で私が最初に撮影したのは2004年なので、県南部で増えるのにあまり時間はかからなかったようだ。

  • 写真6 2004/03/17 旧三島小学校
  • ミチタネツケバナ Cardamine hirsuta(アブラナ科)
  • 【参考文献】
  • 工藤洋・マルホルド K.・リホバ J.(2006) 日本産ジャニンジン・タネツケバナ・ミチタネツケバナ・コタネツケバナ(アブラナ科,タネツケバナ属)に関するノート.分類 6(1):41-49.
  • 工藤洋 (2017) 日本産アブラナ科タネツケバナ属雑草の生物学.雑草研究 62(4):175-183.
  • 大場達之 (1998) ミチタネツケバナ.千葉県植物誌資料.12:83−84.

(尾崎煙雄)