フィールドノート No.2102

 2022/04/26(火)

 ビロードハマキの幼虫

 清澄山系にて。シロダモの葉の様子が何となく変だったので近づいてよく見ると、2枚の葉が糸で綴られていた(写真1)。

  • 写真1 綴られてたシロダモの葉(右側2枚)

 綴られた葉をそっと剥がすと中に2センチほどのイモムシが居た(写真2)。葉を綴って巣にしているようだ。

  • 写真2 ビロードハマキの幼虫

 図鑑で調べるとこれはビロードハマキというハマキガ科のガの幼虫だった。これが、あのビロードハマキの幼虫か、思いのほかふつうのイモムシだ、と思った。というのも、成虫の姿は一度見たら忘れないほど奇抜なのだ(No.1979)。この日以来、綴られた葉を探すようになったせいか、巣をよく目にするようになった。シロダモ以外にも、ツバキやバラ、ブナ科の葉も食べ、関東では昔は珍しかったが、最近増えているとのことだ。

 シロダモの新葉で作られた巣もあった(写真3)。

  • 写真3 シロダモの新葉で作られた巣

 シロダモの新葉は絹毛に覆われ、手触りがとても気持ち良い。中の幼虫はとても暖かそうだ(写真4)。図鑑には幼虫は巣の内側の表皮を食べる、という記載があったが、毛むくじゃらのシロダモの新葉の表皮は食べられそうにないように思う。

  • 写真4 巣の中の幼虫
  • シロダモ Neolitsea sericea(クスノキ科)
  • ビロードハマキ Cerace xanthocosma(ハマキガ科)

(斉藤明子)