フィールドノート No.2107

 2022/05/10(火)

 赤いアオオサムシ

 清澄山系にて。同行のMさんが林床でじっとしているアオオサムシを見つけてくれた(写真1)。

林床のアオオサムシ
  • 写真1

 アオオサムシは体長が3センチほどの甲虫で、後翅が退化していて飛べない。このオサムシは名前に「アオ」とつくにもかかわらず、体色の変異が大きく、輝く青色から赤色、時には黒色となる。この日見た個体は、赤黒くやや艶消しでなかなかしぶい色をしている。

 この種は千葉県全域に分布するが、鋸南町保田と鴨川を結ぶ線を境に、北には関東平野多摩川以北亜種、南には房総半島南部亜種の別亜種が分布するとされている。関東平野多摩川以北亜種は青色の個体が多いが、房総半島南部亜種は美しい赤色なので、通称『アカオサムシ』と呼ばれる。

 清澄山系は両亜種の境界線の北に位置し、関東平野多摩川以北亜種の分布域なのだが、境界線に近いからか、この辺りでは青色、赤色、その中間など、様々な色の個体が見られる。

  • アオオサムシ関東平野多摩川以北亜種 Carabus insulicola kantoensis(オサムシ科)
  • アオオサムシ房総半島南部亜種 Carabus insulicola nishikawai(オサムシ科)

(斉藤明子)