フィールドノート No.2110

 2022/05/18(水)

 シロスジナガハナアブ

 高宕山系にて。雨続きだったが久しぶりに晴れて気持のよい山歩きができた。休憩場所に良さそうと、山道を少し外れ小さなピークへ登ってみた。そこではブンブンと音を立てて数匹のハチが倒木の周りを飛び回っていた。倒木に止まったその虫をよく見ると、ハチではなくハチにそっくりな大型のアブだった(写真1)。体長は2センチほど。

  • 写真1 倒木に止まるハチそっくりのアブ

 しばらく観察していたが、倒木の周りで何をしているのかはよくわからなかった。縄張り争いなのか複数で乱れ飛び、時々倒木上に静止し、腹部を樹皮にこすり付けるような様子も見られた。その後の樹皮を見ても変わった様子は見られなかったが、産卵でも試みたのだろうか。

 アブと判れば刺されることは無いので一匹持ち帰り調べると、ハナアブ科のシロスジナガハナアブという種だった。全体の色彩からスズメバチかアシナガバチのように見えるだけではなく、腹部の基部付近が白く透けていて、ハチのように胸部と腹部の境がくびれているように見えなくもない(写真2、3)。生き物の擬態にはいつも驚かされる。

倒木上のシロスジナガハナアブ
  • 写真2
葉上のルイスコメツキモドキ腹部の基部付近が白く透けて見えるシロスジナガハナアブ
  • 写真3
  • シロスジナガハナアブ Milesia undulata(ハナアブ科)

(斉藤明子)