フィールドノート No.2117

 2022/05/23(月)

 スミナガシ

 房総丘陵にて。尾根上の山道で枝にとまったスミナガシを見つけた(写真1)。スミナガシの幼虫については2008年に書いたが、成虫にはなかなか出会えずにいた。

  • 写真1

 スミナガシは美しいチョウだ(写真2)。青みがかった緑を基調に白や黒の斑紋をちりばめた複雑な翅の模様。墨の色合いを単純に黒というだけでは到底いい表せないのと同様に、このチョウの色合いはとても味わい深い。「墨流し」と名づけた人のセンスに敬服する。

  • 写真2

 翅の裏は黒が濃く、白い斑紋が目立つ(写真3)。

  • 写真3

 房総丘陵ではスミナガシの幼虫はおもにアワブキという樹木の葉を食べて育つ。しかし房総ではアワブキの木が少ないので、スミナガシも数の少ないチョウだ。

  • スミナガシ Dichorragia nesimachus(タテハチョウ科)
  • アワブキ Meliosma myriantha(アワブキ科)

(尾崎煙雄)