フィールドノート No.2138

 2022/07/10(日)

 クマヤナギ

 鴨川市内にて。林道沿いでひときわ目立つ真っ赤な果実を見つけた(写真1)。クマヤナギだ。つる性の低木で、他の低木を覆うようにして繁茂する。

  • 写真1

 赤い果実と同時に花も咲いていた(写真2)。ハチなどの多くの昆虫が花を訪れていた。クマヤナギの果実は開花してから約1年後に熟すので、花と果実が同時に見られる。

  • 写真2

 花は直径2〜3ミリと小さく、5枚の萼(がく)と5本の雄しべが目立つ(写真3)。じつは雄しべは花弁に包まれていて直接はよく見えていない。花弁は柏餅の葉のように雄しべに巻き付いているので、花びら状には見えない。

  • 写真3

 クマヤナギの葉にはしばしばこぶがある(写真4)。

  • 写真4

 葉の裏側から見るとこぶは閉じておらず、袋状になっていることがわかる。これはクマヤナギトガリキジラミという昆虫が作った虫こぶで、中には幼虫がいる。虫こぶの名前はクマヤナギハフクロフシという。この時期のクマヤナギは見所が多くておもしろい。

  • 写真5
  • クマヤナギ Berchemia racemosa(クロウメモドキ科)
  • クマヤナギトガリキジラミ Trioza berchemiae(トガリキジラミ科)

(尾崎煙雄)