フィールドノート No.2148

 2022/07/18(月)

 ムラサキカビモドキ属の一種

 鴨川市内にて。渓谷の地面に転がった枯れ枝に白いカビのようなものが生えていた(写真1)。

  • 写真1

 綿のようにふわふわの質感(写真2)。カビにしては「毛足」が長い。

  • 写真2

 アップにすると細い「毛」の先の方がいくつかに分枝しているのがわかる(写真3)。これはカビの胞子嚢(ほうしのう)の形とはちがう。

  • 写真3

 分枝した枝の先には小さな玉がついている(写真4)。玉の大きさはせいぜい1ミリの10分の1くらい。これはカビではなく、ムラサキカビモドキ属の一種のようだ。ムラサキカビモドキの仲間はカビなどの菌類とはまったく別の生物で、細胞性粘菌と呼ばれる。その生活史にはアメーバのような単細胞で生活する時期と、細胞が集合して写真のような子実体(しじつたい)を形成する時期があり、子実体から放出される胞子によって殖える。細胞性粘菌は変形菌類(=真性粘菌類)に近縁と考えられているが、まだ謎も多い。

  • 写真4
  • ムラサキカビモドキ属の一種 Polysphondylium sp.(タマホコリカビ類)

(尾崎煙雄)