フィールドノート No.2172

 2022/09/16(金)

 スダジイの板根

 清澄山系にて。尾根の上に生えたスダジイに立派な板根(ばんこん)が見られた(写真1)。

  • 写真1 スダジイの板根

 板根とは、その名の通り板状に発達した根のことで、まるで地表に立てた壁のように見える。このスダジイの板根は地表から30センチほどの高さがあった。板根は熱帯の森で多く見られるが、日本では奄美大島以南に分布するサキシマスオウノキの板根が有名で、その高さは1メートルを超える(写真2)。

  • 写真2 サキシマスオウノキ 2014/7/5奄美大島にて撮影

 板根には少ない材で幹を支持する機能があると考えられる。とくに土壌が浅くて根を深く張れないような立地では板根の効果が高いだろう。上記のスダジイほどではないが、付近に生えたアカガシにも板根状の根が見られた(写真3)。

  • 写真3 アカガシの板根
  • スダジイ Castanopsis sieboldii subsp. sieboldi(ブナ科)
  • サキシマスオウノキ Heritiera littoralis(アオイ科)
  • アカガシ Quercus acuta(ブナ科)

(尾崎煙雄)