フィールドノート No.2179

 2022/09/23(金)

 アオツヅラフジ

 旧三島小にて。入口の門を開けようとしたら、門に絡んだつる植物が目に入った(写真1)。

門に絡んだつる植物
  • 写真1

 アオツヅラフジである。小さな白い花がついている(写真2、3)。アオツヅラフジは雌雄別株で、これは雌株(雌花)。花の最も外側の花びらに見えるものは萼で、萼の内側にある先端が二つに割れているものが花びら(写真3)。花の中心にある6本腕のヒトデのようなものが柱頭である。

アオツヅラフジの花
  • 写真2
  • 写真3 花の拡大

 この雌株には若い果実もついていた(写真4)。果実は秋に白い粉をまぶしたような藍黒色に熟す(写真5)が、さすがに9月ではまだ早いようだ。

若い果実
  • 写真4
  • 写真5 熟しかけた果実(2021年11月23日中央博物館生態園で撮影)

 アオツヅラフジのタネといえば、面白い形で有名(かどうかはわからないが、特徴的な形なのは確か)。まだ若い果実だからどうかな、と思いつつ、採集して教室博物館に持ち帰り中身を取り出してみた(写真6)。

  • 写真6 タネ(核)(1目盛1ミリ)

 果実は未熟だが、タネの形はもう出来上がっていた。タネと呼んでいるこの部分、正確には内果皮が硬くなって種子を包んだ「核」というものである。「丸まったイモムシ」や「アンモナイト」に似ていると言われる変わった形だ。これまで私は「アンモナイト」派だったが、この日の核には緑色の未熟な果肉がこびりついてなかなか取り切れなかったので、「丸まったイモムシ」でもよいかなと思った。いずれにせよ、なぜこんな形なのか不思議である。

 熟した果実は一見ブドウのようにも見えて美味しそうだが、アオツヅラフジは全草に毒がある。果実も決して食べてはいけない。面白い形の核を見るために果実を潰したら、必ず手を洗うようにしよう。

  • アオツヅラフジ Cocculus trilobus(ツヅラフジ科)

(西内李佳)