2022/10/14(金)
レモンエゴマ
清澄山系にて。林道の脇にシソに似た葉の植物が生え、花が咲いていた(写真1)。

- 写真1
レモンエゴマである。ハイカラな名前だがれっきとした在来種。植物学者の牧野富太郎が高尾山で発見し、名付けた植物だ。シソ科の栽培植物エゴマに似ていて、葉を揉むとレモンのような香りがすることに由来する。学名の種小名 citriodora も「レモンの香りのする」を意味する。房総丘陵では割とよく見る草である。
花は薄いピンクでなかなかかわいい(写真2)。

- 写真2
茎の下の方はもう花が終わっていた。全体の様子は、刺身によく添えられる「穂紫蘇」に似ている(写真3)。

- 写真3
写真3で、毛が密生している緑色のものは萼(がく)である。花が終わっても萼は残り、萼の中に果実(分果)ができる。果実を撮影したくてさらに拡大してみると、萼の内側にもけっこう毛が生えていることに気づいた(写真4)。果実が一度にこぼれ落ちないようにしているのだろうか。役割はよくわからないが、レモンエゴマがこんなに毛深いとは知らなかった。

- 写真4
その毛に守られている(?)果実が写真5。表面の網目状の隆線はシソ科に多い特徴。

- 写真5 レモンエゴマの果実
特に珍しくはない植物でも、じっくり観察してみるとまだ知らなかったことがあるものだと、レモンエゴマの萼の毛に教えられた気がした。
- レモンエゴマ Perilla citriodora(シソ科)
- シソ Perilla frutescens var. crispa(シソ科)
- エゴマ Perilla frutescens var. frutescens(シソ科)
(西内李佳)