フィールドノート No.2205

 2022/11/17(木)

 ツルデンダ

 清澄山系にて。林道沿いの岩壁に生えたシダ植物(写真1)。葉の長さは大きくて20センチほど。

  • 写真1

 葉は羽状で、裏には特徴的な胞子嚢群(ほうしのうぐん)が羽片の前縁近くに並んでいる(写真2)。

  • 写真2

 胞子嚢群は胞子嚢という小さな袋状の器官の集まりで、多くの場合、包膜(ほうまく)という薄い膜に覆われている。胞子嚢はシダ植物の生殖に関わる胞子を生産する器官である。ツルデンダの胞子嚢群は大きくて直径2ミリほどもあり、白っぽい包膜にすっぽりと覆われている(写真3)。

  • 写真3

 ツルデンダにはおもしろい性質がある。葉の先端にできる無性芽から子株が生じるのだ(写真4)。

  • 写真4 赤い三角が無性芽から生じた子株

 葉の先の無性芽による無性繁殖を繰り返した結果、岩の表面を覆うように広がったものと思われる(写真5)。

  • 写真5
  • ツルデンダ Polystichum craspedosorum(オシダ科)

(尾崎煙雄)