フィールドノート No.2208

 2022/11/18(金)

 色模様が素敵なマテガイ類の化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった砂層が観察できる。崖下に円筒形の二枚貝の化石が落ちていたので、水洗いして砂を落としてみた(写真1、2)。この細長い形は、マテガイ類だ。

  • 写真1 ダンダラマテガイ(殻長は約5.5センチ)
  • 写真2 バラフマテガイ(殻長は約4センチ)

 マテガイと言えば、潮干狩りの時などに干潟に開いた巣穴に塩を入れると、ピュッと出てくるあの二枚貝だ。写真1、2のマテガイ類は化石だが、現在の海でも同じ種類を見ることができる。ただし、マテガイとは違って潮干狩りではなかなか採れない種類で、もう少し沖合に分布の中心がある。写真1のダンダラマテガイは貝殻が直線的で、うっすらと紫色の段だら縞が見られる。写真2のバラフマテガイは貝殻が緩く湾曲し、うっすらと赤茶色の斑模様が見られる。現生の新鮮な貝殻には、薔薇色の斑が見られるらしい。どちらも素敵な色模様にちなんだ名前と思われる。

 化石の場合は、現生の貝殻と比較して色模様がはっきりしない。このような場合、紫外線を照射すると色模様の濃淡がよく見える場合がある。最近購入した紫外線ランプを使って紫外線を照射してみた。すると、本来の色とは異なる毒々しい写真が撮影できた(写真3、4)。

  • 写真3 ダンダラマテガイ 紫外線を照射して撮影
  • 写真4 バラフマテガイ 紫外線を照射して撮影

 この写真を白黒画像に変換すると、色模様の濃淡が見やすくなった(写真5、6)。色模様を可視化すると、貝化石に名前を付けやすくなりそうだ。

  • 写真5 ダンダラマテガイ 写真3を白黒画像に変換
  • 写真6 バラフマテガイ 写真4を白黒画像に変換
  • マテガイ Solen strictus(マテガイ科)
  • ダンダラマテガイ Solen kurodai(マテガイ科)
  • バラフマテガイ Solen roseomaculatus(マテガイ科)

(千葉友樹)