フィールドノート No.2209

 2022/11/18(金)

 生きていたときの姿勢を保ったカモジガイの化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった泥層が観察できる。地層中に突き刺さるような姿勢で埋まっている二枚貝の化石を見つけた(写真1)。

  • 写真1 カモジガイの化石が地層中に埋まっている様子(写真の上が地層の上位)

 これはカモジガイと呼ばれる二枚貝だ。二枚の殻が合わさる面に注目すると、地層の上位側に隙間があり、殻がぴったりと閉じないことが分かる。カモジガイはこの隙間から軟体部を出し、砂泥中にやや深く潜っている。カモジガイの死後も海底から掘り出されず、生きていたときの姿勢のまま地層中に保存されたものらしい。

 カモジガイは現在の海でも生きているが、お目にかかれる機会は多くない。カモジガイの貝殻には特徴的な「反り」があり、一度見ると忘れられない二枚貝だ(写真2)。

  • 写真2 カモジガイの化石(目盛りの単位はミリ)
  • カモジガイ Lutraria arcuata(バカガイ科)

(千葉友樹)