フィールドノート No.2216

 2022/12/11(日)

 ビジョオニグモ

 木更津市内にて。木の葉裏にとまったクモを見つけた(写真1)。ビジョオニグモだ。脚を含めない体長は1センチほど。

  • 写真1

 美女の名にふさわしく、優美なクモだ。腹部は全体に白く見えるが、後半に行くにつれて薄青緑色を帯びる(写真2)。腹部前方にあるV字形の黒い紋は、翼を拡げたコウモリのようにも見える。腹端近くには黒い帯があり、所々に黄色のアクセントもある。

  • 写真2

 近くにいた別個体は葉の表面に糸で作った隠れ家の中に隠れていた(写真3)。ビジョオニグモは円形の網を張るが、この場所では網は見られなかった。

  • 写真3

 ビジョオニグモの学名はAraneus mitificaとされてきたが、1年ほど前にその分類的位置づけが大きく変わった(Tanikawa et al., 2021)。日本産のビジョオニグモは、それまで同種とされていた東南アジアや台湾に分布する類似種とは別の新種として独立した。さらに、それまで所属させられていたオニグモ属Araneusとは別の新属ビジョオニグモ属Bijoaraneusが作られた。属名にも「ビジョ」が加わり、種小名は「小町」となり、ますます美女が強調されることとなった。

  • ビジョオニグモ Bijoaraneus komachi(オニグモ科)

(尾崎煙雄)