フィールドノート No.2219

 2022/12/17(土)

 房総の山の観察会「トドの化石を見つけよう」

 今日は待ちに待った、房総の山の観察会「トドの化石を見つけよう」の開催日だ。市原市の梅ヶ瀬渓谷にて、化石探しを楽しむ恒例行事だ。はじめに、脊椎動物の化石に詳しいIさんが、梅ヶ瀬渓谷で見つかった化石の実物を見せながら、骨の化石の見分け方を解説した。梅ヶ瀬渓谷からはトドの下顎骨の化石が見つかっており、推定される体長は約5メートルと世界最大であることが紹介された(写真1)。

  • 写真1 トドの下顎骨の化石(レプリカ)を手に持って解説するIさん

 その後、整備された山道を歩いて、渓谷にたどりついた。河原には石が転がっていて、その大部分は梅ヶ瀬層と呼ばれる地層に由来するものだ。梅ヶ瀬層は、約90万年前の砂岩と泥岩の互層から成り、特に砂岩には貝化石が多く見られる(写真2、3)。渓谷を歩きながら、河原で石を割って化石を探した(写真2)。

  • 写真2 梅ヶ瀬層の砂泥互層(崖の黄土色の部分が砂岩で白色の部分が泥岩)と河原で化石を探す様子
  • 写真3 二枚貝(クロマルフミガイ)の化石(殻長は約5ミリ)

 しばらくすると、参加者全員が貝化石を見つけることができた。化石探しも終盤に差しかかったころ、参加者の一人が骨の化石を見つけた(写真4)。摩滅しているが、大きさと形から判断すると、クジラの肋骨の可能性が高い。

  • 写真4 骨の化石

 この日は天気が心配されたが、幸い大雨に降られることもなく、参加者23人と引率者5人で化石探しを楽しむことができた。はじめは河原の石がどれも骨の化石に見えていたが、終盤は目が慣れて見分けがつくようになっていた。観察会で化石を見た経験を活かすと、他の場所でも化石を見つけられそうだ。

 参加者の皆様とご協力いただいたボランティアの方に感謝いたします。

  • クロマルフミガイ Cyclocardia ferruginea(トマヤガイ科)

(千葉友樹)