フィールドノート No.2226

 2023/01/06(金)

 名前の通り、ヤカドツノガイの化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった泥層が観察できる。地層から白くて細長い物体が飛び出している(写真1)。さわると硬い。正体を確かめるため、引き抜いてみよう(写真2)。あっさり抜けた(写真3)。

  • 写真1 地層から白くて細長い物体が飛び出している(写真の上が地層の上位)
  • 写真2 引き抜いてみよう
  • 写真3 あっさり抜けた

 ヤカドツノガイ(漢字で書くと八角角貝)と呼ばれる貝類だ(写真4)。名前の通り、角(ツノ)のような形をしている。生きている時は、殻口(写真4の黄色三角)から軟体部を出し、砂泥に潜るらしい。

  • 写真4 ヤカドツノガイの化石(目盛りの単位はミリ、黄色三角は殻口)

 殻口を別な角度から見ると、名前の通り、八角形をしている(写真5)。殻口の断面は、五~九角形とバリエーションがあるらしいが、見つけた化石はどれも八角形だった。ツノガイの仲間では見る機会が多く、名前を覚えると特徴まで覚えられるので、ぜひ覚えていただきたい。

  • 写真5 ヤカドツノガイの殻口(断面は八角形、黄色三角は角の部分)
  • ヤカドツノガイ Dentalium octangulatum(ゾウゲツノガイ科)

(千葉友樹)