フィールドノート No.2235

 2023/02/09(木)

 形はブーメラン、エイの歯の化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった泥層が観察できる。いつものように地層を観察していると、足元にブーメランのような形の物体が落ちていた(写真1)。歩く場所があと一歩ずれていたら、踏んでしまうところだった。化石産地では下を向いて歩くのが良い。

  • 写真1 崖下に落ちていたブーメランのような形の物体(目盛りの単位はミリ)

 水洗いして泥を落としてみると、エイの歯の化石だった。洗濯板のような構造の見られる面と平らな面がある(写真2、3)。エイの種類や生えている部位によっても歯の形は異なるが、この化石のようなブーメラン形の歯を持つ現生種としてマダラトビエイが知られている。マダラトビエイは歯の平らな面で貝類や甲殻類を砕いて食べるらしい。地層中に見られる貝化石の破片にも、エイが砕いたものがあるかもしれない。

  • 写真2 エイの歯の化石(目盛りの単位はミリ)
  • 写真3 エイの歯の化石(写真2と同じ標本)
  • マダラトビエイ Aetobatus narinari(トビエイ科)

(千葉友樹)