フィールドノート No.2236

 2023/02/15(水)

 オオバライチゴ

 君津市内にて。林道の脇にあった木イチゴの茂みが目に留まった(写真1)。

  • 写真1

 冬なのに枯れる様子もなく、緑の葉をたくさんつけている(写真2)。バラに似た羽状複葉で、小葉の数は5〜7枚。この葉の形は多様な木イチゴの中でも「バライチゴ」と名のつく仲間の特徴である。

  • 写真2

 茎や葉の軸には腺毛がたくさん生えている(写真3)。千葉県内に分布する「バライチゴ類」の中でこのような腺毛をもつのはオオバライチゴだけだ。よく似たヒメバライチゴには柄のない黄色の腺点があり、バライチゴには腺毛も腺点もない。また、ヒメバライチゴとバライチゴは冬に落葉する夏緑性であるのに対して、オオバライチゴは条件次第では冬に緑葉を保つ「半常緑性」である。

  • 写真3

 オオバライチゴは国内では九州、四国、本州の太平洋岸に分布し、房総半島がその北限である。千葉県内の記録は少ない。花や果実の時期にまた確認しに来よう。

  • オオバライチゴ Rubus croceacanthus(バラ科)
  • ヒメバライチゴ Rubus minusculus(バラ科)
  • バライチゴ Rubus illecebrosus(バラ科)

(尾崎煙雄)