フィールドノート No.2241

 2023/02/27(月)

 トウゲシバ

 君津市内にて。森の地表にある苔むした岩の上に生えた小さな植物が目に止まった(写真1)。写真1の中で黄色と赤の三角で示したものだ。どちらも高さ3センチほど。

  • 写真1

 黄色い三角で示したのがこちら(写真2)。これはトウゲシバというシダ植物の一種だ。コケのようにも見えるが、しっかりした茎と葉を持っている。

  • 写真2

 そして赤い三角で示したのがこちら(写真3)。写真2のトウゲシバと比べると明らかに幅広で大きな葉をつけている。両者は別種の植物のように見えるが、どちらも広い意味ではトウゲシバである。トウゲシバには葉の大きさなどに変異があることが知られ、変種や品種として区別されることもあるが、広義のトウゲシバとしてまとめる見解もある。

  • 写真3

 黄色い三角の方は葉の幅が最大3ミリほど(写真4)。これはヒロハノトウゲシバと呼ばれる型だ。千葉県内でよく見られるのはこの型。

  • 写真4

 赤い三角の方は葉の幅が最大5ミリほどもあり明らかに大きい(写真5)。こちらはオニトウゲシバと呼ばれる型である。

  • 写真5

 同じ岩に異なる型のトウゲシバが並んで生えているのは珍しい。おかげで変異の幅の大きさがよくわかった。

  • トウゲシバ(広義) Huperzia serrata(ヒカゲノカズラ科)
  • ヒロハノトウゲシバ Huperzia serrata var. serrata f. intermedia(ヒカゲノカズラ科)
  • オニトウゲシバ Huperzia serrata var. longipetiolata(ヒカゲノカズラ科)

(尾崎煙雄)