フィールドノート No.2244

 2023/03/13(月)

 まるでカニ爪フライ、ノジュール中のカニ爪の化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった泥層が観察できる。泥層中にカニ爪の化石を見つけた(写真1)。

  • 写真1 泥層中のカニ爪の化石(スコップの刃の長さは約6センチ、地層のほぼ水平面を見ていることに注意)

 やさしくさわってみると、カニ爪と周囲の泥が固くなっている。このため、周囲の泥よりも侵食に強く、地層から飛び出している。このような物体はノジュールと呼ばれる。カニが死んで腐敗すると、海水中のカルシウムイオンとカニの身由来の炭素成分が化学反応を起こし、炭酸カルシウムができる。すると、カニは周囲の泥ごと固くなるらしい。

 写真2は別な標本で、ガザミ科のカニ爪の化石だ。爪の先端を除いてノジュールに包まれている。

  • 写真2 ガザミ科のカニ爪の化石(目盛りの単位はミリ)

 お腹が空いているせいだろうか。カニ爪フライに見えてきた。どれくらい似ているか、食品サンプルと並べて写真を撮ってみた(写真3)。

  • 写真3 カニ爪ノジュール(上)とカニ爪フライの食品サンプル(下)

 とてもよく似ている。どちらも食べられないが、おいしそうだ。ノジュールは自然が作った芸術作品だと思う。

(千葉友樹)