フィールドノート No.2247

 2023/03/22(水)

 カブトムシの幼虫

 大多喜町の山中にカエデやヤマザクラの花に集まる甲虫を探しに行った。どちらも例年より早く開花していたが、虫の出現が追いついていないようで、花上に甲虫はあまり見られなかった。仕方なくまだ越冬中の虫を探そうと、倒木を崩したり土を掘ったりしていた。

 古い立ち枯れ木の根元をひっくり返すと、巨大な幼虫がゴロゴロッと2匹姿を現した。カブトムシの幼虫だ(写真1、2)。丸々としていて、伸ばすと長さ10センチを優に超えそうだ。

  • 写真1 立ち枯れ木の根元から現れたカブトムシの幼虫
  • 写真2 カブトムシの幼虫が居た立ち枯れ木の根元(撮影後、倒した根元をそっと元に戻しておいた)

 房総丘陵で山歩きをしていて、カブトムシの成虫に出会うことは滅多にない。ただ、幼虫は今回のように朽ち木の中から見つかることがある。清澄山系の沢沿いでは、かなりの数の幼虫が朽ちた立ち枯れ木の中で生育していた(写真3)。

  • 写真3 立ち枯れ木の中で生育していたカブトムシの幼虫(清澄山系にて2019年5月23日撮影)

 里山では、人の手によって作られた堆肥場から多数のカブトムシが発生することがあるが、カブトムシの幼虫が暮らす本来の環境は、このような適度に湿度が保たれた腐朽の進んだ朽ち木の中なのだろう。

  • カブトムシ Trypoxylus dichotomus septentrionalis(コガネムシ科)

(斉藤明子)