フィールドノート No.2255

 2023/05/05(金)

 縁辺部がギザギザ、ノコギリガキの化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった地層が観察できる。地層からはサンゴの化石が突き出している(写真1)。

  • 写真1 地層中のサンゴの化石(スコップの柄の長さは約10.5センチ、写真の上が地層の上位)

 崖下に落ちていたサンゴに、二枚貝の化石が固着していた(写真2、3の黄色三角)。これはノコギリガキと呼ばれるカキの仲間で、片方の殻で岩などに固着する。固着する側の殻だけがサンゴに残されている。殻形は固着する場所によって変わり、長楕円形(写真2)~類円形(写真3)など様々だ。

  • 写真2 サンゴに固着するノコギリガキの化石(目盛りの単位はミリ)
  • 写真3 サンゴに固着するノコギリガキの化石(写真2を別な角度から撮影)

 写真2、3とは別な個体由来のものだが、固着しない方の殻も崖下で拾うことができた(写真4)。

  • 写真4 ノコギリガキの化石(目盛りの単位はミリ)

 どちらの殻も縁辺部にギザギザの噛み合わせができる。別な角度から縁辺部を見ると、ノコギリの歯に似ている(写真5)。

  • 写真5 縁辺部がギザギザ

 この日のお目当ては、オハグロガキという別なカキの化石だった。夏に開催予定の特別展で展示するつもりだったのだが、3時間ほど粘っても、見つけられなかった。次回は何とか見つけたい。

  • ノコギリガキ Dendostrea crenulifera(イタボガキ科)
  • オハグロガキ Saccostrea mordax(イタボガキ科)

(千葉友樹)