フィールドノート No.2257

 2023/05/12(金)

 名前の通り、サケツノガイの化石

 市原市内にて。この場所では、約30万年前の内湾にたまった砂層が観察できる。崖下で白くて細長い物体を拾った(写真1)。

  • 写真1 サケツノガイの化石(目盛りの単位はミリ)

 サケツノガイと呼ばれる貝類の化石だ。この地域にゆかりの貝化石で、市原市の地層から見つかった化石をもとに新種として記載された。その後、生きている個体が現在の海でも見つかった。漢字で書くと裂角貝。名前の通り、角(ツノ)のような形をしている。生きている時は、殻口(写真1の黄色三角)から軟体部を出し、砂に潜るらしい。殻頂の背側(写真1の橙色三角)を別な角度から見ると、名前の通り、裂けている(写真2)。

  • 写真2 裂けている

 殻頂に裂け目があるのが、サケツノガイの最大の特徴だ。名前を覚えると特徴まで覚えられるので、ぜひ覚えていただきたい。

  • サケツノガイ Fustiaria nipponica(サケツノガイ科)

(千葉友樹)