フィールドノート No.2271

 2023/06/19(月)

 成長しても数ミリ、ケシフミガイの化石

 市原市内にて。この場所では、約30万年前の内湾にたまった砂層が観察できる。フミガイと呼ばれる二枚貝の化石が崖下に落ちていた(写真1)。

  • 写真1 フミガイの化石(目盛りの単位はミリ)

 殻長は2~3センチのものが多く、殻が厚く、丸みのある放射肋(ほうしゃろく)が特徴だ。この場所では、もっと小さな貝化石も地層中に含まれている。目を見開いて探すと、ケシフミガイと呼ばれる二枚貝の化石を見つけた(写真2)。

  • 写真2 ケシフミガイの化石(目盛りの単位はミリ)

 大きなものでも殻長2~3ミリほど。似ているがサイズが小さい貝類には、名前の頭に「ケシ」が付けられることがある。ケシの実のように小さいことを表現している。フミガイとケシフミガイを並べて写真を撮ると、大きさの違いが分かる(写真3)。

  • 写真3 フミガイ(左)とケシフミガイ(右)

 目が慣れてくると、崖下に落ちているケシフミガイをたくさん拾うことができた(写真4)。

  • 写真4 様々な大きさのケシフミガイの化石(目盛りの単位はミリ)

 ケシフミガイはこの地域にゆかりの貝化石で、市原市の地層から見つかった化石をもとに新種として記載された。その後、現在の海でも生きている個体が見つかっている。

  • フミガイ Megacardita ferruginosa(トマヤガイ科)
  • ケシフミガイ Carditellopsis toneana(トマヤガイ科)

(千葉友樹)