フィールドノート No.2278

 2023/07/20(木)

 羽脱中のウスバカミキリ

 清澄山系にて。モミの古い立ち枯れ木があった(写真1)。

  • 写真1 モミの立ち枯れ木

 この木の中から顔と前脚を出してもがいている虫を見つけた(写真2)。これはウスバカミキリという体長5センチ前後、大型の夜行性のカミキリムシだ(写真3)。

  • 写真2 穴から顔を出し、さかんに前脚を動かしていた
  • 写真3 ウスバカミキリ(2022年7月26日千葉市青葉町生態園にて夜間に撮影)

 このカミキリムシの幼虫は、各種広葉樹やマツ類などの枯れた材を食べて成長し、材内で蛹化する。この個体は材中で羽化した後、材に穴を開けて外へ脱出しようとしているところだ。前脚を盛んに動かしてもがいているのだが、どう見ても出られそうも無い。気の毒に見えたので指で摘まんで引っ張り出してやった(写真4)。すると、元気に歩き出しあっという間に木のすき間に隠れてしまった。

  • 写真4 引っ張り出した後の脱出孔
  • ウスバカミキリ Aegosoma sinicum(カミキリムシ科)
  • モミ Abies firma(マツ科)

(斉藤明子)