フィールドノート No.2284

 2023/08/04(金)

 棘と色が抜けたウニ殻の化石

 木更津市内にて。この場所では、地蔵堂層と呼ばれる約40万年前の地層が観察できる崖がある。崖下にまんじゅうのような物体が落ちていたので、手に載せてみた(写真1)。

  • 写真1 まんじゅうのような物体

 地層中には貝化石が含まれているので、この物体も何かの化石かもしれない。標本として持ち帰って砂を落としてみると、なんとウニ殻の化石だった(写真2~4)。

  • 写真2 ウニ殻の化石(上面、目盛りの単位はミリ)
  • 写真3 ウニ殻の化石(下面)
  • 写真4 ウニ殻の化石(側面)

 イガグリのような見た目のウニだが、棘が抜けると丸っこくてかわいらしい殻があらわれる。殻の中心から放射状に5個の同じ形の凹凸が並ぶ様子は、五放射相称(ごほうしゃそうしょう)と呼ばれる(写真2)。

 ウニ殻を観察すると、多数の突起が並んでいる(写真5)。ウニが生きているときは、突起のひとつひとつに棘が生えているが、化石では棘が抜けてしまうことが多い。

  • 写真5 ウニ殻に見られる突起

 ウニ好きの同僚に化石を見せたところ、現在の海に住むウニの中では、ベンテンウニの仲間に似ているらしい。ベンテンウニの仲間は極彩色のウニで、やや深場に生息するという。しかし、化石では棘だけではなく色も抜けてしまうことが多いため、名前を調べるのは難しい。

  • ベンテンウニ Coelopleurus maculatus(アスナロウニ科)

(千葉友樹)