フィールドノート No.2287

 2023/08/26(土)

 いろいろ見つかりました。川の生きもの観察会2

 8月26日、ほぼ定員いっぱいの参加者を迎えて、観察会「山の学校161 川の生きもの2」が開催された。場所は、前回と同じ清和県民の森を流れる小糸川上流域。天候がやや不安定で、観察会中にも二度ほど通り雨にあったが、短時間で晴れたので無事進めることができた(写真1)。

  • 写真1 

 7月同様、水は少なくとも生物は豊富だった。今回も見つかった生きものの一端をご紹介(写真2~7)。

  • 写真2 サワガニ 青い個体と赤い個体の両方が見つかった。サワガニの体色は地域や成長によって変わるので、調べてみると面白いかもしれない。ちなみに青いのはアスタキサンチンという赤い色素が欠落しているためだという。
  • 写真3 お腹に稚ガニを抱えたサワガニ ふつう卵から孵ったカニは親とはあまり似ておらず、しばらくは水中をただようプランクトン生活を送る。しかしサワガニは親と同じ形で孵化し、親のお腹で守られながら子ども時代を過ごす。
  • 写真4 コオニヤンマのヤゴ 平べったい体型は落ち葉に擬態しているという。
  • 写真5 クロスジヘビトンボ属の幼虫 成虫は樹液に集まるが、幼虫は肉食で他の水生昆虫などを食べる。大きく立派なアゴは強力で、挟まれるとかなり痛い。
  • 写真6 シマヨシノボリ 午前中の下見で学芸員が見つけた個体。川で産卵する。孵化した稚魚は海に下り、成長すると川に帰ってくる。上流まで上がってくることは少ない。
  • 写真7 ナミハンミョウ 川岸にナミハンミョウがやってきた。この仲間については、ニュースレター「しいむじな」の77号で斉藤明子研究員が詳しく解説しているのでご覧いただきたい。

 最後は魚の研究員が本日の成果を解説(写真8)。このあと、調べた生きものを川に還して帰路につくのだが、子どもたちの「持って帰るー」という声があちこちから聞こえてきた。子どもの気持ちもよく分かるのでちょっとつらい。

  • 写真8 
  • サワガニ Geothelphusa dehaani (サワガニ科)
  • コオニヤンマ Sieboldius albardae (サナエトンボ科)
  • クロスジヘビトンボ属の一種 Parachauliodes sp. (ヘビトンボ科)
  • シマヨシノボリ Rhinogobius nagoyae (ハゼ科)
  • ナミハンミョウ Sophiodela japonica (オサムシ科)

(斎木健一)