フィールドノート No.2290

 2023/09/23(土)

 秋の里の生きもの観察会

 9月23日、今年の猛暑もやっと一段落、曇だったこともあり、長袖でも暑くない気候のなかで、観察会「山の学校162 秋の里の生きもの」が開催された。場所は定例となっている君津市三舟の里。稲刈りも終わり、いまではほとんど見られなくなった稲架掛(はさが)けを眺めながらの観察会となった(写真1)。

  • 写真1 

 道の左側ではヒガンバナも満開。今回も前日の下見と当日に見つかった生きものの一端をご紹介(写真2~9)。

  • 写真2 出発前に、集合場所の周辺で遊んでいた子どもたちの収集品。カラスウリの実、オオカマキリの卵嚢、キンエノコロの穂などがサトイモの葉の上に並んでいる。
  • 写真3 イボクサ 水田では普通に見られるという雑草。ツユクサの仲間で、花の構造はツユクサと同じ。この草をつけるとイボが取れる、ということでこの名前になったらしいが、手元の薬草図鑑を何冊か見ても、載っていない。
  • 写真4 ミズワラビとオオフサモ 中央に広がるやや黄色味がかった葉はミズワラビという水生のシダ。水田の雑草として有名だったが現在では東京都では絶滅し、埼玉県では準絶滅危惧植物に選定されている。幅の広い葉は光合成用の栄養葉、幅の狭い葉は、繁殖用の胞子葉。周囲のキンギョモのような植物は特定外来生物のオオフサモ。アマゾン川原産で、日本には大正時代に観賞用として持ち込まれたという。三舟の里でも努力をしているが、なかなか駆除できないという。
  • 写真5 スズメウリ
  • 写真6 スズメウリ 一本のツルの中で順々に花が咲いていくので、花が実になるまでを、一度で観察できる。
  • 写真7 ツリガネニンジン イボクサとちがい、薬草図鑑には咳や痰に効くとして必ず掲載される。山菜としても若芽がとても美味しいとされている。
  • 写真8 昆虫が得意なボランティアさんと虫探し。
  • 写真9 下見で見かけたアカタテハの幼虫 乗っている葉は、食べていたカラムシの葉。

 終了予定時刻の前に雨が降り始めたので、少し早めに施設に戻って終了。三舟の里は、3歳児でも安心して生きもの観察を楽しめる、良い施設でした。

  • ヒガンバナ Lycoris radiata(ヒガンバナ科)
  • カラスウリ Trichosanthes cucumeroides(ウリ科)
  • オオカマキリ Tenodera sinensis(カマキリ科)
  • キンエノコロ Setaria pumila(イネ科)
  • サトイモ Colocasia esculenta(サトイモ科)
  • イボクサ Murdannia keisak(ツユクサ科)
  • ツユクサ Commelina communis(ツユクサ科)
  • ミズワラビ Ceratopteris thalictroides(イノモトソウ科)
  • オオフサモ Myriophyllum aquaticum(アリノトウグサ科)
  • スズメウリ Zehneria japonica(ウリ科)
  • ツリガネニンジン Adenophora triphylla var. japonica(キキョウ科)
  • アカタテハ Vanessa indica(タテハチョウ科)
  • カラムシ Boehmeria nivea var. concolor f. nipononivea(イラクサ科)

(斎木健一)