フィールドノート No.2296

 2023/10/26(木)

 幼貝は平べったい、シラオガイの化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった砂層が観察できる。崖下でシラオガイと呼ばれる二枚貝の化石を拾った(写真1、2)。

  • 写真1 シラオガイの化石(目盛りの単位はミリ)
  • 写真2 シラオガイの化石(目盛りの単位はミリ)

 シラオガイは、成長すると4センチくらいになる。丸みを帯びた卵形で、殻の表面には規則的な輪肋(りんろく:同心円状に形成される畝(うね)状の盛り上がりのこと)が見られる。成貝(写真1)と幼貝(写真2)を比較すると、殻の膨らみがだいぶ異なる(写真3)。

  • 写真3 シラオガイの成貝(右)と幼貝(左)

 幼貝は平べったいが、成長に伴って膨らみが強くなる。幼貝を見ていると、この中に軟体部が入るのか心配になってしまう。

 シラオガイのように、成貝と幼貝で見た目が異なる貝類は多い。図鑑には成貝の写真しか載っていないことが多いため、幼貝の分類は特に難しい。成長に伴う見た目の変化が把握できるように、なるべく様々な大きさの標本を集めている。

  • シラオガイ Circe undatina(マルスダレガイ科)

(千葉友樹)