フィールドノート No.2230

 2023/11/10(金)

 拡大すると納得、ハチミツガイの化石

 館山市内にて。この場所では、数千年前の内湾にたまった砂層が観察できる。ガラス細工のように美しい二枚貝の化石を拾った。殻長は7~8ミリくらい。ハチミツガイの化石だ(写真1、2)。

  • 写真1 ハチミツガイの化石
  • 写真2 ハチミツガイの化石(写真1と同じ標本の内面)

 殻形は平べったい三角形で、つぶれて横長になったオニギリを思わせる。殻表面を拡大すると、全面に細かい凹凸がある(写真3)。

  • 写真3 ハチミツガイの殻表面の凹凸(写真1と同じ標本)

 殻表面に見られる構造が蜂の巣のようだ。そこから蜂蜜を連想して、ハチミツガイ(蜂蜜貝)という名前が付いたらしい。蜂蜜は絞れないが、拡大すると納得の名前だ。

 ハチミツガイは、館山市から見つかった化石をもとに新種として記載された。この地域にゆかりの貝化石だ。その後、生きている個体が現在の海でも見つかっている。

  • ハチミツガイ Melliteryx puncticulata(ウロコガイ科)

(千葉友樹)