2025/5/26(月)
有吉南貝塚
千葉市の有吉南貝塚を訪れた。1996年(平成8)~2001年(平成13)にかけて発掘調査が行われ、縄文時代中期の貝層や竪穴住居跡などが検出された。注目すべきは、頭に土器を被せられ、腰にクジラ類の骨製の飾りとイモガイ製の飾りを身に着けて埋葬された人骨が発見されたことだ(この土器と腰飾は中央博物館に展示中)。このような飾りを身に着けた人は、ムラのまとめ役などの特別な存在だったとされる。しかし、この人骨は住居跡内の貝層下に埋められており、さらにその上部からは糞石(ふんせき・人や動物の排泄物が化石化したもの)が出土している。現在の私たちから見たら、かなり意外な埋葬の在り方である。現代人とは異なる縄文時代の精神文化が表れていて興味深い。遺跡の大部分は有吉貝塚公園として良好に保存されており、訪れると縄文人が残した無数の貝殻を見ることができる。
- 写真1 「有吉南貝塚」が保存されている有吉貝塚公園と隣接する有吉日枝神社
(黒田篤史)