フィールドノート No.2379

 2025/7/13(日)

 三菱銀行佐原支店旧本館

 香取市の三菱銀行佐原支店旧本館を訪れた、佐原の大祭の最中だ。町家の並ぶ国選定重要伝統的建造物群保存地区の佐原にあって、レンガ造の洋風建築は良く目立つ。大正3年(1914)に川崎銀行佐原支店として建設され、三菱銀行に名称を変えながらも平成元年(1989)まで銀行として使用されていた。同年に香取市に寄贈され、現在は町並み保存の拠点施設、佐原町並み交流館三菱館として公開されている。東日本大震災の影響で閉館していたが、令和元年(2019)~令和3年(2021)の保存修理工事を経て令和4年(2022)から公開を再開している。日本にはレンガ造の建物が少ない。それは、明治以降火災に強いレンガ造が次々に建てられたが、大正12年(1923)の関東大震災で地震に弱いことがわかり、翌年に法律が改正され、大規模なレンガ造の建築ができなくなったためだ。建物としての希少性だけでなく、佐原の町の歴史的重層性を示す貴重な文化財建造物である。平成3年(1991)に県指定有形文化財となっている。

    写真1 県指定有形文化財(建造物)三菱銀行佐原支店旧本館の外観
    写真2 内部には銀行として使用されていた頃の窓口が復原されている
    写真3 当初の設計図や古写真をもとに復原された螺旋階段

(黒田篤史)