フィールドノート No.2382

 2025/7/21(月)

 市原市でライトトラップ

市原市内でライトトラップを行った。この採集方法は昆虫採集の中でも最も有名だと思う。日没直後にライトをつけ、夕ご飯を食べながら虫の飛来をを待った。

    写真1 段々と虫が集まってきた。

ミヤマカミキリが大きな羽音を立てて飛来した。本種は毎年当館で行っている講座「昆虫標本のつくり方」で使用するため採集した。

    写真2 ミヤマカミキリ。この後も多数飛来した。

本日最も個体数が多かったカメムシ。オオホシカメムシである。本種はライトトラップを行うと必ずと言っていいほど集まる常連さんである。

    写真3 オオホシカメムシ。写真には2個体しか写っていないが、100を超える数が集まった。写真2にも写っている。

チャイロナガカメムシも多数飛来した。普段私は落ち葉を篩って地面にいる昆虫を採集しているが、その際によく観察するカメムシである。地面に落ちた果実の汁を吸っている。

    写真4 チャイロナガカメムシ。

少し時間が経過すると段々とガが集まってきた。机にソースを垂らしたような見た目のガはウスギヌカギバだ。幼虫はコナラの仲間を食べる。

    写真5 ウスギヌカギバ。「ホットケーキの上に糖蜜を垂らしたような模様」と表現すれば美味しそうに見える。
    写真6 ギンモンカギバ。弓みたいな形状をしている。

 モフモフのガはナシイラガ。幼虫は有毒だ。

    写真7 ナシイラガ。成虫は愛くるしい。ライトトラップではよく見る。

沢が近くにあったのか、水生昆虫も飛んできた。アオヒゲナガトビケラだ。トビケラ目はチョウ目と姉妹群であり、幼虫は水中で生活する。太い腕のように見える部位は小顎肢。

    写真8 アオヒゲナガトビケラ。青黒く輝く。幼虫は青くない。

トンボもやってきた。ナツアカネだ。アカトンボの仲間はたまにライトに飛んでくる印象がある。

    写真9, 10 ナツアカネ。お腹の横模様が綺麗。

最後はクワガタ。ノコギリクワガタだ。本個体は比較的小さい個体で、大顎が直線的になっている。せっかくなら大型個体も見たかったが、残念ながら今日は飛んでこなかった。

    写真11 ノコギリクワガタ。背中には傷が残っている。

名残惜しくはあるが、翌日も元気に出勤する必要があったため22時ごろに切り上げて帰宅した。この夏は少なくともあと2回くらいやりたい。

  • ミヤマカミキリ Neocerambyx raddei (カミキリムシ科)
  • オオホシカメムシ Physopelta (Neophysopelta) gutta gutta (オオホシカメムシ科)
  • チャイロナガカメムシ (ヒョウタンナガカメムシ科)
  • ウスギヌカギバ Macrocilix mysticata watsoni (カギバガ科)
  • ギンモンカギバ Callidrepana patrana (カギバガ科)
  • ナシイラガ Narosoideus flavidorsalis (イラガ科)
  • アオヒゲナガトビケラ Mazureus azureus (ヒゲナガトビケラ科)
  • ナツアカネ Sympetrum darwinianum (トンボ科)
  • ノコギリクワガタ Prosopocoilus inclinatus (クワガタムシ科)

(樽宗一朗)