利根川流域の歴史と文化
利根川の流れがはぐくんだ仏像や書物などのたからものがおさめられているよ。
- 海獣葡萄鏡

香取神宮のたからものです。中国の唐時代(8世紀)のもので、丸いかたちをした鏡です。
中央にはつまみがあり、そのまわりを海獣(海のむこう、海外のいきもののこと)・くじゃく・ほうおう・天馬と、ぶどう唐草もようでかざられています。
なお、香取神宮の海獣葡萄鏡と大きさ、材質のまったくおなじものが、奈良の正倉院に保存されています。
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◆香取・鹿島の神
香取の人びとは山野で狩りをし、海辺で漁をしていたのだけれど、今から約1000年〜1500年ほど前、強大な大和朝廷の勢力が関東に入ったんだ。そして、香取の海を中心とした沿岸一帯にあたらしい農業文化をこの地方にひらいたんだ。香取神宮と鹿島神宮は、この関東開拓の力のある神をまつったのものなんだよ。
- 十一面観音座像

千葉県香取市牧野の観福寺にある十一面観音座像の複製(ほんものに似せてつくられたもののこと))です。
元の襲来に関係する仏像として、また鎌倉時代のすぐれた美術品として貴重です。展示では坐像が回転して、背中にかかれた文字が読めるようになっています。
- 日蓮聖人像

原品は市川市浄光院所蔵。複製(ほんものに似せてつくられたもののこと))です。
日蓮は現在の千葉県鴨川市に生まれ、のちに日蓮宗をひらいた鎌倉時代の宗教家です。
強い意志の日蓮のすがたを描く本作品は鎌倉時代後期に制作された本格的な肖像画といえます。
- 大般若経

千葉県指定有形文化財。
平安時代後期から室町時代までの写経(お経をうつしたもののこと))と、印刷されたお経からできています。
貞治2年(1363)に現在の佐倉〜八街にあった六所宮におさめられたあと、16世紀頃に神崎町の神宮寺にあらためておさめられました。
写経にかかわった僧侶は県内をはじめとして、現在の広島県出身の者ものもおり、当時の広い文化交流を知ることができます。
- しらべてみよう

◆香取の中世の文化
いまの利根川・霞ヶ浦などがひとつとなった大きな内海を舞台として、人や物資といっしょに文化の交流もひろく行われたんだよ。
武家政権の誕生によって、鎌倉を中心としたあらたな仏教思想や文化が生まれて、香取の寺院や神社にも伝えられたんだ。