館長  三森 俊彦
平成15年9月 千葉県立大利根博物館
1 「むかしの道具」展の開催にあたって

生涯学習は,あらゆる場所と機会をとらえ,自らが学習を深めていこうとするものですが,社会教育施設を利用すれば,さらに接したものへの興味・関心が高まり,より確実に大きな学習成果が得られるものと思います。
子どもたちと,博物館や美術館等のいわゆる社会教育施設との出会いは,本物に接することができたり,専門的な知識に触れることができるということで,将来に大きな収穫をもたらすことになると思われます。
特に、小学生の博物館利用は,今までもある程度は行われていましたが,近年の学社連携(学校と社会教育施設の連携)により,学校と博物館の連携はますます進んできています。博物館が一方的に用意した展示資料を見学するという形にとどまらず,事前に博物館と学校が意見交流をする中で,実物資料を媒体にした新たな学習形態を見いだそうと模索する方向にも進んでいます。こうした流れは,学校における「生きる力」を育む学習,「総合的な学習の時間」の導入により,一段と加速されつつあります。
そこで大利根博物館では,それらを視野に入れて,様々な試行錯誤を続け、平成12年度から「むかしの道具」展を企画し、各所で展覧会を開催してきました。
この展示を契機として,昔の道具に込められた人々の生活の知恵や工夫を少しでも語り伝えることにより,一人でも多くの子どもたちが博物館に関心を持ち,気軽に利用するようになることを心から願う次第です。