28 県立佐倉高等学校記念館

(旧佐倉中学校本館)


所在地

佐倉市

竣工年 M43
所有者 千葉県
設計者 久野 節・他
施工者 島崎留次郎
構造 木2
外壁 下見板張り
屋根形状・葺材 寄棟造,鉄板葺
建築規模 696.6m2

この建物は旧佐倉藩主堀田家からの援助を受け,明治43年に建設された。外観はほぼ左右対称の構成で,中央の玄関部分を強調している。細い角柱で支えられた車寄せには花びらを型どった透かし彫りがなされ,繊細な印象を受ける。上部を見上げると,ブロークンペジメントの小さな破風と,棟の上の庇の付いた塔が眼にはいる。明治の中期までの学校建築は,中央部の玄関やバルコニーを強調するほか,その上に大きな太鼓楼などを載せ,シンボル性を高めようとする傾向にあったが,明治も終わりになると屋根の上の塔は小さくなり,控えめな形態として残るにとどまった。ここでは玄関両脇の小さな丸屋根の双塔や,両端の切妻破風を見せる部分に,デザインの力点が置かれているように思える。双塔に設けられた上げ下げ窓上には,彫りの深いペジメントが付き,両端の破風部は持ち送りで張り出され,1階扉上に装飾性の強い庇が付けられ,更に2階窓廻りもバロック的手法で飾られている。

この建物はドイツ下見張りの豊かな意匠の外観に対して,内部は比較的装飾性を抑えたデザインでまとめられた落ち着いたものとなっている。県内でも重要な近代建築のひとつとして価値は高い。[江口]


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