70 吾妻屋旅館


所在地 鴨川市
竣工年 T〜S
所有者 個人
設計者 不明
施工者 不明
構造 木3
外壁 木3
屋根形状・葺材 下見板張り
建築規模 入母屋造,瓦葺

鴨川市に現存する2軒の3階建て旅館のうちの1つである。当時,この一帯には多くの旅館が建ち並び,活況を呈していた。吾妻屋は房総一周鉄道開通の年に建てられており,観光客の増加を見込んでの営業開始であったと思われる。しかしながら,現在は老朽化が甚だしく,用途も変更されている。一方の竹の屋旅館ほど装飾性はないものの,唐破風や千鳥破風など,いくつもの破風を並べる外観は,明らかにそれ以前に建てられた竹の屋旅館に影響を受けたものと考えられる。

この建物の面白さは部分でなく,全体の構成にあるといって良い。かぎの手になった雁行状の外観は,建物に変化を与えている。見る位置によって,建物は様々な表情を見せ,動性を感じさせる。軒の先端が重なり合いながら織りなすその姿は,変化に富み魅力的である。

1階に浴室,従業員室,売店を配し,2・3階に客室を並べた構成であったが,現在はおもちゃ屋として使われている。[江口]


Back
Home
Up
Next