くじらばし

39 鯨橋


木更津市

交通関係・道路・道路橋

全長9.0m,幅員5.1m
1934(昭和9)年

鯨橋は木更津市南部,君津市に隣接した畑沢地区を流れる畑沢川にかかる橋である。1934(昭和9)年に建造されたコンクリート造,T桁形式の構造である。橋長は9.0m,幅員は5.1m。橋の表面は小さな貝殻や,黒や白の滑らかな小石が配置され,近づいて見ると美しさも感じられる。

鯨橋は現在は海岸から離れており,海も見えないが,建造当時は海岸近くにあったと思われる。橋の名の由来も,設置場所から推測できる。1934(昭和9)年は木更津海軍航空隊飛行場の起工式が行われた年であり,この年にはまだ完成されていない。また橋の海側に現在位置する新日本製鐵君津製鉄所はもらろん当時はなく,鯨橋の下を流れた川の水は,じきに海に流れ込んだと思える。畑沢川は流長1.9km,流路延長4.2kmの短い川で,川幅もせまい。澄んだ小川の水が鯨橋の下を流れ,鯨橋自身も周囲の景観に映えた,落ち着いた美しさをもっていたと想像できる。

鯨橋の欄干を注意深く観察すると,ゆるやかにカーブが描かれていたり,柱と柱の間は半円形にくり貫かれたり,柱にも長方形のレリーフ様の模様が施されている。小さな橋であるが,実用本位ではない,親しみをもたせる工夫がなされて建造されている。

現在の橋は,建造当時の部材と補強,修繕した部分とでできている。また橋の手前の道路が急カーブしているため,橋の左右がズレてかかっているのも面白い。

(白石 稔)

地形図 「木更津」(略)

写真39-1 ズレている部分(1997年) 写真39-2 全体・欄干のカーブ,穴等装飾(1997年)
写真39-3 表面の刈り(1997年) 写真39-4 新しい部材と古い部材(1997年)

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