房総丘陵の渓谷にて。岸辺の小さな水たまりの苔むした水際で、かすかに動く物を視界の隅に捉えた（写真１）。ヒメイトアメンボである（写真２）。体長１センチほどの細くて弱々しい昆虫だ。「アメンボ」といっても水面を滑走することはなく、長い脚を交互に動かして水面を歩く。その動きは緩慢でとても肉食昆虫とは思えない。そんな虫だからなかなか見つからないのだが、この場所に座り込んで周囲を探してみたら何匹も見つかった。意外とたくさんいるのかもしれない。この虫の補食場面を見てみたいものだ。
　（尾崎煙雄）

　ヒメイトアメンボ　Hydrometra procera（イトアメンボ科）