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清和県民の森にて。林道脇の陽当たりのよい草地(写真1)。定期的に草刈りされる場所で、ススキ、ワラビ、ミツバツチグリなど多様な草本が生育している。その中に細長い葉を持つひょろっとした植物が生えている(写真2)。草丈は20センチ程度。カナビキソウだ。
ちょうど白い小さな花が咲いていた。直径5ミリほどで、花冠は4ないし5つに裂けている(写真3)。カナビキソウはよほど注意していないと見つけにくい植物だが、こんなに小さくても純白の花が咲いていると少しは目立つ。
外見からは想像できないが、このカナビキソウは寄生植物である。葉緑素を持っているので、自身でも光合成ができるが、他の植物の根に寄生して養分を奪っている。このような寄生植物を「半寄生植物」という。カナビキソウはイネ科やマメ科などを含む多様な草本植物の根に寄生することが知られている(文献)。ただし、この場所でカナビキソウが何に寄生しているのかは、根を掘ってみなければわからない。
<文献> Suetsugu, K., A. Kawakita and M. Kato (2008) Host Range and Selectivity of the Hemiparasitic Plant Thesium chinense (Santalaceae). Annals of Botany 102:49–55.
(尾崎煙雄) |
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