No.1738 2019/10/27(日)
サザンカ
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三島小の校庭のサザンカが咲いた(写真1)。 |
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![]() 写真1 |
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花にはスズメガの1種のホシホウジャクが訪れていた(写真2)。体長は5センチ弱。高速で羽ばたきながら空中に静止して長いストロー状の口を花の中に差し込み蜜を吸っている(写真3)。花に止まることはなく、隣の花、その隣の花と忙しく移動していくので、写真を撮るのは一苦労だ。吸蜜中のホシホウジャクの身体は雄しべや雌しべに触れるかどうかの微妙な位置にある。サザンカにとって、この昆虫は花粉を運んでくれる「媒介者(ばいかいしゃ)」となっているのだろうか。 |
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![]() 写真2 |
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![]() 写真3 |
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別の花にはキイロスズメバチが訪れていた(写真4)。サザンカの花には100本近くの雄しべがあり、中心に1本の雌しべがある。キイロスズメバチは雄しべをかき分けるように頭を突っ込み、蜜をなめているようだ。よく見ると身体の毛には黄色い花粉がたくさんついていて、サザンカの花粉を運ぶ媒介者となっているようだ。 |
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![]() 写真4 |
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また別の花にはコアオハナムグリがいた(写真5)。この虫は雄しべの付け根にしがみついていて身体に花粉が付くチャンスはあまりなさそうだ。 |
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![]() 写真5 |
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さらに別の花にはクロオオアリが来ていた(写真6)。さらに小型のアリが集まっている花もある(写真7)。アリたちはさながら雄しべの森に分け入るようにもぐり込んでいて、花粉運びに役立っているようには見えない。 |
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![]() 写真6 |
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![]() 写真7 |
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サザンカの花を訪れる虫たちはみな花の中心部を目指しているように見える。放射状に伸びた多数の雄しべに取り囲まれて、花の中心には雌しべがあり、その根元には白い絹毛が密生している(写真8)。たぶんこの絹毛に蜜がしみこんでいて虫たちの食料になっているのだろう。 |
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![]() 写真8 |
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花びらに止まったワカバグモを見つけた(写真9)。網を張らず、待ち伏せて近づく餌を捕らえるこのクモは、サザンカの花に多くの虫が訪れることを知っていて、待ち構えているのだろう。 |
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![]() 写真9 |
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サザンカの花にはさまざまな虫が訪れる割に、花粉の媒介者は少ないように思える。しかし、枝には立派な実がなっていた(写真10)。直径2センチほどの球形で、中には3個の種子があり、3裂して種子を落とす。この実は昨年咲いた花がしっかり受粉していた証だ。 |
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![]() 写真10 |
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サザンカ Camellia sasanqua(ツバキ科) ホシホウジャク Macroglossum pyrrhosticta(スズメガ科) キイロスズメバチ Vespa simillima xanthoptera(スズメバチ科) コアオハナムグリ Gametis jucunda(コガネムシ科) クロオオアリ Camponotus japonicus(アリ科) ワカバグモ Oxytate striatipes(カニグモ科) |
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