2020/04/03(金)
クロオビマグソコガネ
だれも居ない廃道を歩いていたら、道に何やらまん丸な固まりが落ちていた(写真1)。色から獣の糞だということはすぐにわかった。博物館へ戻って哺乳類の専門家に聞いたところ、こんな丸い糞をするのはイノシシらしい。

- 写真1
獣の糞を見つけると虫がいないか必ず確認しないと気が済まないので、丸い固まりをころんと転がすと裏にやっぱり虫が居た(写真2)。糞の底で4匹のクロオビマグソコガネがそれぞれ部屋を作っていて、他にセスジハネカクシのなかまの姿も見えた。

- 写真2
枯れ枝の先で部屋から追い出してみたがほとんど動かなかった(写真3、4)。

- 写真3

- 写真4
クロオビマグソコガネ(写真5)はいわゆる糞虫(ふんちゅう)のなかまだ。コガネムシ科の一部を中心とする糞を餌とする甲虫をまとめて糞虫と呼んでいるのだが、この虫は糞虫と聞いて皆が思い浮かべるスカラベのような“フンコロガシ”ではない。“フンコロガシ”は逆立ちして長いうしろ脚で丸めた糞を転がすが、この虫は糞を転がすことはしない。千葉県に生息する“フンコロガシ”は体長が2㎜ほどしかないマメダルマコガネ一種だけだ。

- 写真5 クロオビマグソコガネ 体長5.8㎜ 標本番号 CBM-ZI 177787
- イノシシ Sus scrofa(イノシシ科)
- クロオビマグソコガネ Aphodius unifasciatus(コガネムシ科)
- セスジハネカクシの一種 Oxytelinae sp. (ハネカクシ科)
- マメダルマコガネ Panelus parvulus(コガネムシ科)
(斉藤明子)